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黒いCarl Zeiss Tessar 50mmの修理

さて、二本目のテッサーです。

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こいつはちょいとやっかいで、絞りが開放以外にならないという症状。
あと、レンズに少し曇りが発生しています。
前に一度分解を試みたのですが、工具不足とびびっての両方で、途中で断念したのです。

テッサーというレンズは、別名「鷹の目」と呼ばれ、シャープさが身の上なのですが、絞り開放ではシャープさなど出るわけもなく、さらにレンズが曇っていたらなおさらにダメということで、撮影は可能ですが、まったくテッサーらしさのないレンズになっております。

で、前回の分解でもっとも苦労したのが、実は簡単なはずの裏蓋はずし。
外すのは簡単なのですが、側面にベアリングが埋まっていて、これがなんと外した瞬間に飛び出すのです。
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今回はわかっていたので、最初から慎重に・・・。
で、なんとかキャッチ!

さらに絞りリングを外すとその裏側にも付いています。(普通は外れてコロコロ)
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このベアリング、直径は1mm程度で非常に無くしやすいので、要注意。
このレンズだけではなく、この時代のレンズではクリック感を出すためには、みんなこんな使い方をしているらしく、今後こういう分解時には要注意ですねと先日学びました。

レンズはこんな感じで、ちょっとホコリが多い。(かなり強調して撮影)
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ゼブラの修理のときの比較写真は、修理前に撮影しているので、めちゃくちゃ画像には影響しないのですが、やっぱり気分が今ひとつ。

で、とりあえず、前回分解した状態まで持ってゆきます。
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ここからは新兵器の登場で、まずレンズを外します。
カニ目レンチというそうで、クラシックカメラ修理の本にはかならず登場する必須工具。
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そして、後群レンズをクリーナーでピカピカに磨き上げます。
テッサーは3群4枚のレンズ構成、後群は2枚張り合わせの構造ですが、どうして貼りあわせるといいのか、私にはわかりません。

で、中の絞りユニットを動かしながら観察。
絞りそのものが、ややすれてかさ付いた感じで動かしにくいのと、絞りと自動絞りのピンを連動している可動部がひっかかる感じがあります。

これが絞りが閉じている状態
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で、中央の絞り環連動ピンを右に動かすと、絞りユニット連動のピンもともに動いてこんな状態になる
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のですが、絞り環連動ピンを戻すと、いっしょに戻るはずの絞りユニット連動ピンが戻らないのです。

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なので、ずっと開放状態のままになってしまうようです。
まずはライトに外したレンズの穴から綿棒で絞りユニットを掃除して、薄くカメラ用の機械油を塗って絞りを動かして見ます。

結果はあまり変わらず。
そうなるとこの状態では見えない絞りユニットの中がグリスなどで固着している可能性が大。
全部ばらすか(考えたくない・・・)、隙間から洗浄するかのどっちか。

ここで注射器のような道具が必要になるのですが、手元にはなし。
隣の部屋で本を読んでいる娘に「注射器ある?」って聞いたら、きっとパニックになるので(笑)、「昆虫採集セットって持ってない?」と聞くと、虫好きのはずなのに「何それ?」っていう回答。

そうか、今の子供たちにはそんなもの売らないんだ。
けど、よくよく話を聞くと吹奏楽部の金管楽器には使うそうです。
なんだ、いっしょじゃん!
けど、うちの娘はコントラバスなので、用無し。

一瞬、クレ556を隙間から吹きつけようかという誘惑に駆られたのですが、ほかのレンズにも油がかかって、すごいことになる可能性が極めて高いので、なんとか踏みとどまり、100円ショップへ。

注射器もあれば(化粧品の詰め替え用)、綿棒も筆(掃除用)もネジ入れも、ピンセットもある。すごいね、100円ショップ。
で、帰って連動ユニットを取り外し、
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注射器で、そーっと絞り環の周りに無水アルコールを回して、ガシャガシャ!
固着していた油が取れてきたのか、すべりが断然によくなる。
流れてくるアルコール(と油の混合物)を綿棒を少しほぐしたもので拭き、さらにガシャガシャやって、また拭いての繰り返し。
アルコールが乾いたあたりで、今度は注射器に機械油を入れなおして、ほんのちょっとだけさしてみると、ひっかかりがほぼ取れた。

机の上はまるでお医者さんのよう。
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手術のドラマで、脱脂綿で額の汗をぬぐってくれる看護婦さん(女性限定)に憧れますが、残念ながら流れる脂汗は自分でふき取るしかないです・・。

前についている2枚の玉も拭きたかったのですが、これ以上のユニットの外し方がどうしてもわからずに断念。
たぶん、前面についている銘板を外すのだと思うのですが、どうも接着してあるっぽく、Carl Zeissの文字が抜けたら、レンズの価値がなくなってしまうのでやめました。

けど2枚目の後ろは拭けたし、後群も拭けたので、1枚目の裏と2枚目の表以外は全部清掃完了!
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あとは、ベアリングに注意しながら元通りに組みなおして、どきどきしながらテストすると、完璧に絞りが動作してました!

こっちもGreat!
さすがに時間は3時間近くかかりました。

by nominomi0 | 2008-06-29 22:09 | Zeiss Tessar 2.8/50

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